2006/07/25

僕の小規模な失敗


さらに勢いに乗って、福満しげゆきの3冊目の単行本「僕の小規模な失敗」を読みました。ダメな主人公(著者本人)が、高校で漫画を描きはじめた頃から現在までを描いた自伝的漫画です。人間的なダメさぶりが赤裸々に描かれていますが、大なり小なりここでの主人公の心情は、誰しもが少なからず感じている事でしょう。そういう意味である意味共感を呼んだり、読み手は自分よりダメな部分を読んでは、自分はまだましだと安心したりするのではないでしょうか。しかし、それは作者の計算であると思います。マイナスパワーのなんたるかをよくわかっていらっしゃる。いつも死にたい死にたいと思いながらも、主人公は意外にしたたかに生きております。スポーツしたり、漫画も書き続けているし、彼女をつくり、結婚までしている。人間誰しも、必死に不安を感じながら細々と生きている。そんな部分をもろに描くこの漫画は、やはり読んでいて笑ってしまいます。悲劇と喜劇は表裏一体なのです。いや面白かった。著者の次作が楽しみです。青林工藝社より発売。1,000円。

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