12色物語
以前から探していた坂口尚の「12色物語」を渋谷の書店で見つけたので、購入して読みました。雑誌「COM」に掲載された1980年当時の短編作品集で、一編ごとにイメージカラーを決め、それぞれの物語において色を表現するという試みをした作品です。描かれている物語のテーマは「生と死」で、著者が得意とする少年と老人を中心とした物語など、感慨深いものばかり。絵柄も素晴らしく流れる様なペンタッチは、著者がもっとも脂がのっていた時期を窺わせます。残念ながら坂口氏は1995年に亡くなられてます。しかし残された作品を読み返すたびに感心するのですが、この人ほど丁寧に人間を深く見続け、それを漫画という作品に昇華した人はいないと思います。ある意味手塚治虫とはまた違った、人間を描ける作家であったのではないかと。やはりこの作品を読んでも強くそう感じるのであります。このような素晴らしい作品は、いろんな国の人にも読んでもらいたいなぁ。世界に誇れる漫画とは、このような作品ではなかろうか...。講談社漫画文庫。788円。
ラベル: BOOK
0 Comments:
コメントを投稿
<< Home