2006/09/09

総員玉砕せよ!


水木しげるの「総員玉砕せよ!」という漫画を読みました。水木しげるの戦争中の体験をもとに、ラバウルでの戦いを描いたモノです。これを読むと、言葉が出ません。戦争という理不尽の塊を、あのとぼけたキャラクターを通して、克明に描かれております。下っ端の兵隊達は、とにかく殴られる。理由もなく、ビビビビビと殴られる。軍の命令により、玉砕令が出る。玉砕=死。このとき、命からがら生き残っても、軍から死を迫られる。隊長は自決をしなければならない。兵士は死ななければならない。死んで、少しでも敵に危害を加える。しかし、当たり前であるが、誰がそう簡単に死ねよう。体験した者しか絶対に描けない世界が、ここにはある。真の地獄。あとがきの水木しげるのこの言葉が深く印象に残った。「ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りがこみ上げてきて仕方がない。」負のエネルギーたるや何たるか。講談社文庫。667円。

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