2006/09/01

千利休 無言の前衛


赤瀬川源平の「千利休 無言の前衛」という本を読みました。源平さんは以前、映画『千利休』の脚本を書かれていまして、その後に総括しようと書かれた本のようです。絵を描き、芸術作品を作り、その後前衛芸術に挑み、そして本書で述べているように「もはや何物かを作ることよりも、世の中を見ていた方が遙かに面白い」と至った路上観察学などの活動と、千利休が築いてきた茶道との関わりなどが書かれており、面白かったです。相変わらず、読みやすくわかりやすい文章で、千利休という人物の行いを、客観的に普通とは違った視点で見つめることにより、いろいろと見えてくるモノがあるのです。茶道そのものについては、とくだん詳しく書いてあるわけではないのですが、おのずと興味がわきます。モノ(人)を見る(観察する)こと、そこから何かを読み取る事、それが偶発的に何かを生み出す行為につながる。しかしそれは結局、モノ(人)を見極める力(観察力)が優れていないと出来ない事だと思います。著者は、その力をものすごく持っている方だと思います。うーん、凄いです。岩波新書。780円。

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