銀河鉄道の夜

ますむらひろし版の『グスコーブドリの伝記』を読み(07年1月5日blog参照)、勢いに乗って『銀河鉄道の夜』も読んでみました。言わずとしれた、皆さんご存知宮沢賢治の代表作を漫画化したものです。もちろん、ますむらひろし氏が描かれているので、キャラクターは猫なのです。
この本には二本の『銀河鉄道の夜』が収録されています。一本目は、いわゆる最終稿とされている第4次稿版の『銀河鉄道の夜』を漫画化したもの。『銀河鉄道の夜』自体は、未発表作品であり、宮沢賢治による幾たびにもわたる推敲が何年にもわたり繰り返されていた作品なので、完成版が存在しない作品なのです。したがって、現在流通しているモノでは、この第4次稿版が最も知れ渡っているモノのようです。
冒頭三章分が書き加えられ、ラスト、ジョバンニがカムパネルラの死を知るところが、第4次稿の今までと大きく違う点です。ところが、ますむらひろし氏は、それ以前の初期形に多大に心を打たれていたようで、第4次稿版の漫画を描いた2年後に、この『銀河鉄道の夜』(ブルカニロ博士篇)を描いているのであります。こちらは、物語のラストに出てくる黒い帽子の大人=ブルカニロ博士=宮沢賢治の、人の生き方について語る重要なシーンがあるからなのです。確かに、このシーンは子供にとっては重い(わからない?)でありましょうが、大人になった自分が今読むと、胸にずしりとくい込むメッセージが述べられております。賢治凄すぎます...。
『銀河鉄道の夜』は未完成作品ではありますが、永遠の名作であるしょう。扶桑社文庫。524円。
ラベル: BOOK
0 Comments:
コメントを投稿
<< Home