グレート・ギャツビー

村上春樹氏の新訳“ グレート・ギャツビー”を読みました。グレート・ギャツビーは学生の時読んだきりで、半分話を忘れていましたが、今回の新訳本ではっきりと鮮明によみがえり、新鮮な気持ちで読む事が出来ました。さすが春樹氏。彼のこの作品に対する思い入れはひときわ深いようで、めずらしく“あとがき“まで書いています。ハードカバーと新書の2冊同時刊行で、前者には当時のニューヨークの状況を書いたガイド本をおまけにつけ、春樹氏本人が執筆するという力の入れようです。装丁をいつものごとく和田誠氏が担当していまして、素晴らしい仕上がりです。ストーリーはとても救いようのない悲惨な話でして、お金持ちとはかくもこうありなのか...という事を、語り部である主人公ニックと共に読者は感じるのです。ここに描かれている事は、著者フィッツ・ジェラルドの私生活とかなり重なる部分があるようでして、著者自身の背景と重ね合わせるといっそう興味深いです。村上春樹氏は、随分前からこの作品をいつか翻訳したいと公言し続けていたので、ひとつの目標が達せられたのでしょう。先日のノーベル文学賞を逃したのは残念ですが、なんかそれも村上春樹氏らしいと感じました。そんな偉そうな賞は、僕はいいですと言いそうな感じですし。(賞をとってしまったら、仕方がなさそうに頂いておきますという感じかな...)この本は、彼の作家として大きな節目となるのではないでしょうか。彼の次なる新作長編作品が楽しみです。
ラベル: BOOK
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