愛情生活

写真家・荒木経惟氏の本を何冊か読んだせいもあり、彼の亡くなった最愛の妻、荒木陽子さんの存在が、否が応でも大きくなります。スキャンダラスで情緒的な彼の写真を見ていると、当然、奥さんである陽子さんはこれをどう思っていたのか...、いやそもそも荒木氏の写真のモチーフでもある陽子さんは、どんな人なのかと疑問が沸きました。どんな夫婦だったのか。そこで読んだのがこの本『愛情生活』です。
この本は、85年に出版された陽子さんのエッセイを集めた「愛情生活」をもとに、増補・再構成したもので、97年に出版しなおしたモノ。ですので、彼女が亡くなられた後に出たモノです。
書かれている文章には、彼女のアッケラカンとした人柄がなかなかよく表されていて、非常に面白かったです。荒木氏と陽子さんの夫婦生活を読んでいると、なんだかとても理想的な夫婦振りだ。彼に対する陽子さんの想いが、ひしひしと読みやすい文章から伝わってきます。とくに旅好き、温泉好きなので、夫婦で旅行へ行った事を書いた旅日記が、何とも言えず良かったです。エッセイストとしては、陽子さんは一流だったのですね...。もっともっと陽子さんのエッセイが読みたくなります。返す返す亡くなられたのが残念です。
装丁も素晴らしく、何といっても表紙の写真が印象的です。いや、これは良い本だ。そしてよくわかりました。ご自分でも言っておられましたが、写真家・荒木経惟は陽子さんの存在があってだったという事が...。納得です。作品社。1,800円。
ラベル: BOOK
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