2007/07/20

3月の風は3ノット


好きな漫画作家はと問われれば、必ずあげる作家の一人、坂口尚さんです。
95年にすでに亡くなられた方ではありますが、いまだに何度も読み返す名作“石の花”や“あっかんべえ一休”は、間違いなく傑作であります。そんな坂口氏は、長編漫画だけではなく、良質な短編作品をいくつも描いておりました。そして、長らく絶版となっていた“3月の風は3ノット”が、このたび復刊されたのです。
潮出版の希望コミックス時に収録されていた5作品に加え、「夏休み」、宮澤賢治原作の「黄いろのトマト」「十力の金剛石」の2作品に「イラストファンタジィ」も収録されてだけに、とても嬉しいです。
表題作の「3月の風は3ノット」をはじめ、「独立祭の夜」「よわむしコロ」「高田くんの時計」など、どれも少年達の日常の冒険を描いた傑作ばかり。現代人が忘れかけている“何か”が、どの作品にもしっかりと描かれているように思えます。今、こんな漫画を描く人、少なくなりました。本当に坂口氏は、貴重な漫画家、そしてアニメーターでもあったのだなぁ...と思う次第であります。
チクマ秀版社。2.625円。

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